包み愛~あなたの胸で眠らせて~
でも、みんながみんな同じではない。

高橋さんと星野さんにお礼を言って、広海くんと共にエレベーターに乗る。


「ついてこなくても大丈夫なのに」

「下までだから。タクシーで帰りなよ」

「まだ昼だし、電車も普通に走ってるから電車で帰る」

「そんな顔で?」


顔を指摘されて、両頬を手で押さえる。そんな顔と言われるほど、ひどい?

そういえば、高橋さんもひどい顔だと言っていた。晒して歩くのはよくない?

外に出て、広海くんが止めたタクシーに乗せられる。


「あとで行くから」

「いいよ、来なくても」

「俺が行きたいんだよ。じゃ、気をつけて。運転手さん、お願いします」


ひどいと言われた顔の半分をハンカチで隠して、手を振る広海くんに見つめた。

彼は心配そうにしながらも笑顔を見せる。大丈夫だと励ますような笑顔だった、

家に帰り、顔を洗って、ソファに深く腰掛ける。

湊人はまだ大学に行っている。今日はバイトにも行く予定になっていた。湊人がいなくてよかった。

右手の甲を額にあてて、目を閉じる。
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