包み愛~あなたの胸で眠らせて~
派遣会社に電話しようかな。派遣先を変えてもらえるといいのだけれども。変えるのが不可能なら派遣会社自体を辞めよう。


どこかで何かが鳴っている……。

いつの間にか寝てしまっていた。重いまぶたを開けて、テーブルの上のスマホを見る。着信を知らせるランプが点滅していて、鳴っていたのはこれだと手に取った。

広海くんからの着信が何件か来ていた。今何時だろうと時間を確認する。

ぼんやりと窓に目を向けるが、外は薄暗くなっていて雨の音が聞こえた。昨日梅雨入りしたことを思い出す。

これからは雨の日が続くと思うと憂鬱だ。それよりも憂鬱なのはこれからのことになるが。

広海くんからの着信に返すべきかと、画面を眺めてしばらく迷う。

私の迷う心が広海くんまで届いたか、再び彼から着信が入った。


「も、もしもし」

「紗世? 家にいる?」

「うん。電話出れなくて、ごめんね。いつの間にか寝てしまっいて」

「いや、家にいるならいいんだけど。そうか、寝ていたならご飯はまだ食べていないよね?」

「うん、まだだけど」
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