包み愛~あなたの胸で眠らせて~
いつの間にか隣の椅子に移動していた広海くんは震える私の手を覆うように握り、顔を近付けた。

今、同じ場所に広海くんがいる。頼れば彼はきっと支えてくれる。だけど、彼を頼ることで彼に好意を抱く人から非難を受けるんじゃないかと怯えた。

結局受けてしまったけれど。


「紗世の仕事はいつも完璧だし、もっと出来る能力もあるのに何で派遣社員をやっているんだろうと思ってた。もちろん派遣社員の業務も簡単なものではないし、派遣社員の人が陰ながらもいろいろサポートしてくれるから俺たちは助かっている。でもさ、もったいないと思うんだよね」

「いいの、私は派遣の仕事に誇りを持っているし、正社員の人の邪魔にならないよう役に立てればいいの。うん……役に立つならと思ったんだけど、身の程をわきまえないで出てはダメだよね。私の行動で嫌な思いをした人もいるだろうし」

「紗世、そんなに人のことを考えなくていい。紗世のことを悪くいうやつに気遣う必要なんてないんだよ」

「でも、私があそこで電話に出なければ……」


堀田くんを助けてあげたいと思っても、我慢したらよかった。あの場で私が出ていかなくてもなんとかなったかもしれないのに。
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