包み愛~あなたの胸で眠らせて~
おどけたように言いながらも私も見る目は真剣だった。食事くらい軽く応じたらいいのかもしれないけど、真剣な誘いなら軽くは返せない。


「ごめんなさい。あの、えっと、その……」

「あはは、いいですよ。困らせるつもりはないです。断られたと分かったのに、意地悪な言い方してごめんなさい」

「いえ、私こそ本当にごめんなさい」


断るのに理由をちゃんと伝えなければいけないのに、言葉に出せなかった。堀田くんから感じる好意に応じられないとは言えなかった。

ただ私が食事をしたいのは堀田くんではなく、広海くんだということだけを理由としては言えなかった。

なんとなく気まずい空気になってしまい、私たちは無言でミーティングルームをあとにする。

「戻りました」と高橋さんに伝える。


「おかえりー。戻ったばかりで悪いんだけど、この入力を頼んでもいい? 今表をメールで送るから、終わったら返してくれる?」

「はい、分かりました」

「明日まででいいので、お願いね」

「はい」


高橋さんから届いたメールに貼ってあるエクセルをクリックして、預かった数枚の紙と照らし合わせた。今日定時で退社したとしても明日までには終わる量であることを確認して、ひとまず閉じて給湯室へ行く。
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