私にはあなたでした。
「いや、知らないです。」

俺はなんの迷いもなくそう答えると
驚いたようにちえさんは、

「知らないって、春風くんと同じアパートやがな!」

…!?
俺と同じアパート…?

2年間住んでたのに1回も会わなかったなんて
そんな偶然あるのか…。

「とりあえず、家まで運ばないけんから春風くん頼むよ。」

そう言うと、ちえさんは白石さんの部屋の鍵を開けておくため先にアパートに戻って行った。

…よし、俺もいそいで運ばないと。

白石さんの肩に手をまわし、
膝に腕をいれそのまま抱き上げる。

「…軽いな。ちゃんとご飯食べてんのか…?」

白石さんが軽かったせいか、
アパートまでの道のりが短かったせいか、

抱き抱えて帰ったわりに
時間が短く感じた。

アパートにつくと、ちえさんが玄関先で待ち構えていた。

「ほらほら、冬華ちゃんの部屋は2階の18号室やから、はよう連れてってあげて!」

急かすちえさんに自然と足が早くなる。

そして、2階の18号室に着いた時
俺は気づいた。

「…18号室って…、俺の隣じゃん…。」

そう、
俺の部屋は19号室。

焦っていたせいか言われた時は全く気づかなかった。

「…アパートも一緒で部屋も隣なのに今日まで合わなかったとか逆に凄いな…。」

独り言をぶつぶつ言いながら
鍵の開いた白石さんの部屋に入る。

「…おじゃましまーす…。」





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