不器用な殉愛
ヒューゲル侯爵の守る南の城壁は、あっという間に陥落した。そこから城に入り、あとはディアヌの渡してくれた絵図であらかじめ調べた守りの薄いところを攻めていくだけだ。
「マクシムと王子達を探せ!」
王城の中に入るなり、ルディガーは声を大きくして命じた。ともに城に入った者達すべて、緊張に満ちた面持ちでいる。
国が滅びて以来、あちこちに身を潜め、ルディガーが立ち上がるのを待ってくれた者達だ。今日、マクシムを打ち取りたいと思う者は多いはず。
王子達とマクシムはそれぞれ別の場所で敵を迎え撃つつもりだと聞き、ルディガーの方も部下達を三手に分ける。誰でもいい。マクシムをとらえるのならば、その手柄を自分の者にしようとは思わない。
「ルディガー様! マクシムを発見しました! ルディガー様が来るまで、出てこない、と」
「……わかった」
マクシムが決戦の場に選んだのは、大広間だった。かつて、毎夜のように華やかな宴が繰り広げられていたのだろう。その場に参加させられた者が何を考えていたとしても、マクシムはそれに頓着することはなかったはずだ。
部下達を連れ、その広間に入った時、ルディガーは目の前にいる男を見て唇を引き結んだ。
——これが父の仇か。
十年前、まだ十六の少年だったルディガーには、恐ろしく見えていたマクシムも、今や恐れるべき相手ではなかった。ここまでの間、贅を尽くし、荒れた生活を送っていた彼の身体は、当時の戦士というよりは元戦士といった雰囲気だ。
「マクシムと王子達を探せ!」
王城の中に入るなり、ルディガーは声を大きくして命じた。ともに城に入った者達すべて、緊張に満ちた面持ちでいる。
国が滅びて以来、あちこちに身を潜め、ルディガーが立ち上がるのを待ってくれた者達だ。今日、マクシムを打ち取りたいと思う者は多いはず。
王子達とマクシムはそれぞれ別の場所で敵を迎え撃つつもりだと聞き、ルディガーの方も部下達を三手に分ける。誰でもいい。マクシムをとらえるのならば、その手柄を自分の者にしようとは思わない。
「ルディガー様! マクシムを発見しました! ルディガー様が来るまで、出てこない、と」
「……わかった」
マクシムが決戦の場に選んだのは、大広間だった。かつて、毎夜のように華やかな宴が繰り広げられていたのだろう。その場に参加させられた者が何を考えていたとしても、マクシムはそれに頓着することはなかったはずだ。
部下達を連れ、その広間に入った時、ルディガーは目の前にいる男を見て唇を引き結んだ。
——これが父の仇か。
十年前、まだ十六の少年だったルディガーには、恐ろしく見えていたマクシムも、今や恐れるべき相手ではなかった。ここまでの間、贅を尽くし、荒れた生活を送っていた彼の身体は、当時の戦士というよりは元戦士といった雰囲気だ。