不埒な先生のいびつな溺愛
久遠くんの顔には『なんだコイツ』と書いてあり、ついでに周りの彼のクラスメイトたちの顔にも、そう書いてあった。

コソコソとした女子たちの声もしている。ついでにドアの向こうにいる絵里がどんな顔をしているのかと思うとさらに肝が冷えた。

負けるな、私。そう覚悟を決めて、そこからは勢いで話を続けた。

「早く全部読んで感想聞かせてよね」

久遠くんはポカンと口を開けたまま私を見上げるだけで、何も答えてはくれず、言い切った私はどんどん顔が熱くなってくる。

彼の共犯になってあげられたらいいと思ったけれど、私はその重圧に耐えきれず、ついには「じゃ!」と言い残し、その場を逃げ出していた。

移動教室に近い方のドアから出ていって、後方にいた絵里のところへ寄る余裕はなく彼女のことは置いていったのだが、もちろん絵里は私に駆け寄って問い詰め始めた。

「美和子、なに今の!久遠くんと知り合いだったの?」

「ちがう、なんでもないっ」

「ちょっと、嘘つき〜!詳しく話しなさいよ!」

絵里のことは適当にあしらいながらも、自分の行動が恥ずかしくて消えてしまいたくなった。

ただでさえ目立つ久遠くんの前で、理進クラスの皆の注目を集めてしまったのだ。久遠くんだってそんな私を変に思ったに違いないだろう。
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