がらくたのハート
ワタシは、カノンさんに謝罪しなければなりません。
ワタシはロボットです。心はありません。だから、謝っても心を込めれません。プレゼントだって心を込めて渡せません。

『博士、ワタシはどうしたら……』

「自分で考えるんだ。お前には、データがある。それに……心は見える物じゃない。お前が考えれば考えるほど、自然と心は込められるんだ。ロボットだって関係ない。相手を思う気持ちが大切なんだ」

博士はそう言って、ワタシの狭い肩をポンと叩いてラボへと戻りました。

ワタシはロボットです。気持ちを込めるなんて……出来ませんよ。


博士、どうしたら?


ワタシは、データの通りに「ごめんなさい」と言うことしか出来ません。


気持ちが伝えられなければ、許してもらうなんて出来ませんよね?
でも、「ごめんなさい」が言えなければ気持ちがあっても意味はありません。

ダイニングには誰も居ません。今の内に、少しだけ練習しましょうか。

『カノンさん、ごめんなさい』

『カノンさん、すみませんでした。許して下さい』

データには、こんなのもあります。

『カノンさん、慰謝料は幾らですか?』


……これは、少し違いますね。

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