がらくたのハート
練習もしました。
これで完璧です。誰が何と言おうと、完璧です。
ですが、本当に許して貰えるのでしょうか。
もし、許してもらえなかったら……
ワタシは、廃棄処分されるかもしれません。人間を傷つけてしまったのですから……。
ワタシは、これから謝り行きます。
ワタシのデータでは、許して貰える確率は20%です。
確率は低いです。
町の出口へと歩いていると、元気な子供達の声が聞こえて来ました。
パン屋の裏にある空き地で遊んでいる様ですね。
「おい、ラズ。お前がやれよ」
「……嫌だよ」
「ああ? グスタ様に逆らうのか?」
子供は元気が一番ですね。ちょっと覗いてみましょうか。
「おれ様がお手本見せてやるよ」
3人の男の子がラズを囲んでいます。
その中にいる、小太りでそばかすの少年。名前はグスタ。確か、町で有名なイタズラっ子です。
そのグスタが、小石を持ちました。
何をするつもりでしょう?
グスタが持っていた石を、壁の方に投げました。
はは~ん。的当てですか。
「ギャア!」
「よっしゃ! 頭に当たったから100点だ!」
今の鳴き声は……
猫。
「ほら、ラズの番だ。思い切りやれよ」
グスタが、さっきよりも大きめな石を、ラズに差し出しました。