がらくたのハート
「じゃあオレも行くよ! こいつを助けてくれたからな!」
ラズは両手に抱いていた猫をワタシに差し出しました。
コッソリとワタシのアイカメラで撮影しました。
博士は猫好きなんです。
“猫は閃きに似ている。どちらも触りたい時に触れなくて、ひょんな所で姿を現す気まぐれ”
と言ってました。
でも……データには博士は猫アレルギーとあるんですが……?
まあ、どちらでもいいでしょう。
『でもラズ、サックス山は危険ですよ?』
「だーいじょうぶ。だいたいお前は奏恋花がどんな形でどんな色か知ってるのか?」
おやおや、ワタシも舐められた物ですね。
ワタシの検索エンジンを甘く見ないで頂きたいですな!
アンテナをのばしてと。
『ケンサクチュウ……ケンサクチュウ……』
「何を言ってるんだ? 壊れたのか?」
ふふふ。世界にはネットと言う物があるんですよ。
花の画像など、直ぐに何万件も出てきますよ。
正に機械バンザイ。ロボットバンザイですよ。
『検索結果……0件です』
あれ?
可笑しいですねえ。
奏恋花の画像が1件もありません。そんなに珍しい花なんですか?
生態も分かっているのに。
「おーい、いつまで壊れてるんだ? 早く行かないと日が暮れるぞー」
ラズが町の入口の前で手を振っています。
やれやれ、仕方がないですね。ラズが花を知っている様なので、手伝ってもらいますか。
ワタシがついていれば大丈夫でしょう。