がらくたのハート
 
「なあ、お前は兄弟とかいねーの?」
 
ラズが不思議な質問をしました。
ワタシ、ロボットですよ?

『可笑しな事を聞きますね……』

「え……。そんな事ないだろ。博士に作って貰えよ」

『いやあ、必要ならば作ってくれますよ。必要ないから兄弟はいないんです』

「……そっか」

コブラ草の茂みを抜けました。

「もういいや! 下ろしてくれ」

そうですか。
ラズがそう言うなら。

ワタシはラズを背中から下ろしました。

「よいしょ。ありがとな」

『……ラズは』

「え?」

『兄弟はいないんですか?』

ラズは何も言わず、スタスタと先へ歩いて行ってしまいました。

ワタシ、また何か悪い事を?
いやいや、まさかそんなハズありません。
ラズは怒ってませんもの!

きっと聞こえなかったんですね。

『ねえ、ラズ。ラズってば……』

ワタシはラズの名を呼びました。

しかし、返事がありません。

『あら? ラズ?』

これはマズイ……
ヒジョーにマズイです。

この場合、ワタシはラズの保護者であり守らなくてはならない立場ですから、彼に何かあっては困ります。

『ラズ? ラーズー?』

姿も返事もない……。
ラズはどこへ?

おや、足元の雑草に何か落ちてます。
ワタシは拾ってみました。

『これは』

ラズが被っていた帽子です。

まさか誘拐?
いえ、これはもしや神隠し?

いやいやまさか、科学の時代に神隠しなど……。

待ってください。
科学の時代でも科学では説明出来ない物はあります。
 
ひーふーみーよー
たくさんあります。
 
取りあえずワタシはラズの帽子を被りました。
ラズの気持ちになれば……ワタシ、パニックになってますね。

こんな時のタメのロボットです。
人間に出来ない事をしなくては!

とにかく、ワタシのレーダーでラズの手掛かりを探してみましょう。

ラズ、どうか無事でいて下さい。
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