最恐ドクターの手懐けかた
遠藤先生が漢マンだと知れ渡っても、私は痛くも痒くもない。
むしろ大馬鹿者だと思われて、いい気味だ。
だけど……
普段散々罵倒していた私に、「誰にも言わないでください。本当に……お願いします」と頭を下げた彼が脳裏をよぎる。
彼は相当なプライドの持ち主であるはずなのに……ミジンコのような存在の私に頭を下げたのだ。
遠藤先生を思うと、少しだけ胸が痛んだ。
そして、この秘密はもう少し秘密にしておいてやろうという結論に至る。
「あー……たいした秘密じゃないんだよ。
きっとそのうち、優奈ちゃんも分かるよ」
縁起でもない言葉を吐いて、業務に戻った。
こんな訳で、不覚にも遠藤先生と食事に行くことになってしまった。
……そう、デートのはずがない、ただの食事だ。