仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
翌朝。朝日に包まれながら目が覚めた。
ぼーっとしながら瞼を開く。
ベッドの上で裸のままシーツを被った慧さんが、穏やかな表情でこちらを見つめている。
彼は私が起きたことに気がつくと、瞳を瞬かせて眩しいばかりの優しい微笑みを浮かべた。
「おはよう」
「おはよう、ございます」
素肌を隠すようにシーツを肩まで引き上げながら、昨夜のことを思い出して、身悶える。
こんなに優しい王子様みたいなのに、夜の彼は本当に意地悪だ。身体中にキスの雨を降らされて、身も心も蕩けてしまった。
「その顔、誘ってるの? もう一回する?」
徐々に口元までシーツで隠していく私を見ながら、慧さんはクスクスと幸せそうに笑う。
「い、いえ!」
私が慌てふためくと、彼は楽しそうに肩を揺らした。
「……こんな風に、おはようの挨拶が出来ることが幸せだなんて、この間ようやく気がついたんだ」
彼のさらさらと流れる亜麻色の髪が、キラキラと輝いている。
まるで眩しい光を見るように瞼を細めると、彼は蜂蜜がとろけるように甘い瞳で、私を見つめた。
「ねえ。おはようのキス、してくれる?」
その魅惑的な美しさに、時間が止まったように釘付けになった。