仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
「今日から僕は婚約者として、君が蕩けるくらい可愛がってあげる。だから――僕のことで君の頭をいっぱいにして」
常盤社長は誰もを虜にするような魅惑的な表情を浮かべ、どこまでも甘く堕ちていくような声音で囁いた。
「……っ!」
きゅうっとせりあがるようなトキメキが喉に詰まる。
常盤社長の言っていることは、私に“婚約をしている女性”を演じさせるための嘘なのに。
なんだか、いてもたってもいられない。
真っ白だった蕾が鮮やかな桃色に色づくように、とくり、とくりと鼓動を刻み出す。
あふれるような喜びの感情が、心の奥底から湧き上がっているような気さえする。
彼とは住む世界が違うんだから……好意を持ったらダメ。それに、この甘くて優しい王子様の本性は、高圧的で意地悪な王様。
絶対に私で遊んでるに決まってるんだから……!
淡い期待を帯び始めた鼓動に『今すぐ静まれ』と念じながら、私は胸をぎゅうっと押さえた。
常盤社長はどこか満足そうに目を細めると、私の両頬からそっと手を離した。
「他に欲しい物があったら揃える。一通り見てくれるかな」
彼は先ほどの甘く堕ちていくような声音ではなく、玲瓏な通常の声に戻して言った。
彼の切り替えに、こちらが戸惑う。
常盤社長は誰もを虜にするような魅惑的な表情を浮かべ、どこまでも甘く堕ちていくような声音で囁いた。
「……っ!」
きゅうっとせりあがるようなトキメキが喉に詰まる。
常盤社長の言っていることは、私に“婚約をしている女性”を演じさせるための嘘なのに。
なんだか、いてもたってもいられない。
真っ白だった蕾が鮮やかな桃色に色づくように、とくり、とくりと鼓動を刻み出す。
あふれるような喜びの感情が、心の奥底から湧き上がっているような気さえする。
彼とは住む世界が違うんだから……好意を持ったらダメ。それに、この甘くて優しい王子様の本性は、高圧的で意地悪な王様。
絶対に私で遊んでるに決まってるんだから……!
淡い期待を帯び始めた鼓動に『今すぐ静まれ』と念じながら、私は胸をぎゅうっと押さえた。
常盤社長はどこか満足そうに目を細めると、私の両頬からそっと手を離した。
「他に欲しい物があったら揃える。一通り見てくれるかな」
彼は先ほどの甘く堕ちていくような声音ではなく、玲瓏な通常の声に戻して言った。
彼の切り替えに、こちらが戸惑う。