仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
「け、慧さんっ!」
まるで守護の呪文ように急いで彼の名前を呼んでみれば、彼は長い睫毛に縁取られた瞳をぱちくりと瞬かせてから、おとなしく私を解放した。
私はホッと息を吐く。
契約を結んだ時みたいに、キス、されてしまうんじゃないかと身構えていたけど……。
どうやら私の心配しすぎだったようだ。
「くくくっ」
彼は軽く握った拳で口元を隠し肩を震わせながら、可笑しそうに笑い声を噛みころしている。
こっちは恋愛経験なしの初心者なんだから、こんな意地悪なことしないでほしいのに!
もう! と思いながら、私は横目で恐々と『脱がせたいやつ』とコメントされた下着の詰まった引き出しの中を覗く。
まるでランジェリーショップレベルの品揃えだ。
慧さんの脱がせたいと思った回数に驚愕するしかない。
私の視線の先に気づいたのか、彼がキャビネットの中に手を伸ばした。
「僕としては、こういうのも悪くないと思うよ。凄くそそられる」
そう言って、慧さんは黒い下着を手に取る。
ひらりと総レースのブラが露わになり、自分が着たものでもないのに赤面してしまった。
まるで守護の呪文ように急いで彼の名前を呼んでみれば、彼は長い睫毛に縁取られた瞳をぱちくりと瞬かせてから、おとなしく私を解放した。
私はホッと息を吐く。
契約を結んだ時みたいに、キス、されてしまうんじゃないかと身構えていたけど……。
どうやら私の心配しすぎだったようだ。
「くくくっ」
彼は軽く握った拳で口元を隠し肩を震わせながら、可笑しそうに笑い声を噛みころしている。
こっちは恋愛経験なしの初心者なんだから、こんな意地悪なことしないでほしいのに!
もう! と思いながら、私は横目で恐々と『脱がせたいやつ』とコメントされた下着の詰まった引き出しの中を覗く。
まるでランジェリーショップレベルの品揃えだ。
慧さんの脱がせたいと思った回数に驚愕するしかない。
私の視線の先に気づいたのか、彼がキャビネットの中に手を伸ばした。
「僕としては、こういうのも悪くないと思うよ。凄くそそられる」
そう言って、慧さんは黒い下着を手に取る。
ひらりと総レースのブラが露わになり、自分が着たものでもないのに赤面してしまった。