嘘ごと、愛して。

「約束を守ったのは、自分のためだよ。アンタが責任を感じることはない」


「でも、私が約束をしなかったら…」


正義がお姉さんのことを縛っているというのなら、真凛の約束は正義を縛っているに違いない。

それなのに学校に来ない真凛は、正義にここまでしてもらって自分だけ逃げて。心は傷まないのだろうか。


「それに俺はアンタの傍にいれて、今、幸せだから」


「私も幸せだよ」


ごめんね、真凛。
貴方が苦しい時に、お姉ちゃんは幸せを感じている。

幸せは誰かの不幸の上に成り立っているというけれど、許されることじゃないよね。



「俺と付き合ってくれる?」



自然な流れの告白だった。
嬉しいはずなのに、
その言葉は、
ひどく残酷に聞こえた。

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