嘘ごと、愛して。
正義のお願いを待っていたが、彼は首を振った。
「今はいいや。言いたくなったら、こっちも言う」
「真似しないでよ」
「気になる?」
「そりゃぁ気になりますよ」
「教えない」
意地悪い笑みを浮かべた正義を見て、いつもの空気が戻ってきたことにほっとする。
いや、いつも通りに、敢えて正義がしてくれているのだ。
自分勝手な振る舞いをしているようで、誰よりも相手のことを見ての言動をしていると、分かってきた。
そんな人が彼氏だったら、幸せだろう。
寂しさのせいか熱くなった目頭をさりげなく抑える。
「教えてくれた時はちゃんと叶えるから」
彼の望みを叶えるだけのスペックを真凛はもっているから。
「絶対に、叶えるから」
「ありがとう」
二人一緒に笑った。