嘘ごと、愛して。
何度も頭を下げる裕貴に、
貴方は何も悪くない、そう返した。
あの子がどんな理由で不登校になったのかは知らないが、自業自得なんだ。
己の行いが結局、自分の首を絞めただけの話。
そう、真凛の全てを否定したいのに、できなかった。
何十年、それこそ年の数だけ一緒に過ごして来た真凛は、二股を好むような女の子ではない。
私の知っている真凛は、そんな恋愛を好まないはずだ。
だから、まだ受け入れられない。
「朝のこと、気にしてんの」
なんとなく授業に出る気になれずに、午後一で屋上に来た。
そしてそこでお昼のカップラーメンを食べる正義と顔を合わせることになったのだ。
「……」
「今更やってしまったことを後悔しても遅いだろ」
ズズズーと、麺をすする音。
緊張感の欠片もないが、今はそれが有り難かった。
「私、嘘つきなんだよ?正義はこれからも私のことを信じられる?」
私は、妹を信じられるかーー少し疑問だ。
「何度だって信じるよ」
屋上に爽やかな風が吹き、正義の前髪が揺れる。
「例え嘘つかれても、俺はアンタを信じきる。そう今、決めた」