嘘ごと、愛して。
「例え嘘をつかれても、その嘘の中にある、真実を絶対見つけてやるから。だから、俺から逃げるなよ」
私の前髪もふわふわと風に煽られ、それを押さえるために額に手を当てる。ついでに、目元もーーそうでもしないと、泣きそうだった。
正義の言葉に救われる。
やっぱり、ここを立ち去る時、
正義には"サヨナラ"を言いたい。
今までついてきた全ての嘘を、
ひとつひとつきちんと謝りたい。
それがこんな私に親切にしてくれて、笑顔を届けてくれた彼に対する誠意ってものだから。
「私、本当に良い友達もったな」
「当然」
「例え裏切られるようなことがあっても、私もアンタのことを信じるよ」
正義がそう言ってくれたように、
何があっても私は貴方から目を離さない。
一緒に居られる時間はあと僅かだって、分かっているから尚更ね。
「正義、またあのチョコレート食べたい」
「ああ、いつでも連れてってやるよ」
こんなにも温かい場所を、
後少しで真凛に奪われる。
ーー黒い感情が増していくことに
気付かないフリをした。