沈黙する記憶
でも待って?


さやの隣にはいつも由花がいる。


負けん気で男勝りな由花。


力も強く、杏よりも背が高い。


そう考えた時、自分の手のひらにジワリと汗が浮かんでくるのがわかった。


さやが夏男に好意を抱いていることは、あたしも由花も知っていることだった。


夏男が杏と付き合い始めた時、由花は朝までさやと一緒に泣いていたそうだ。


2人が杏の事を嫌っていても不思議じゃない。


それに、由花がいれば杏を力付くでどこかに閉じ込めておくことも可能かもしれない。


あたしは頭を抱えて強く目を閉じた。


いつも仲の良いメンバーたちが、途端に怪しく感じられる。


裕斗も克矢もさやも由花も。


何を考えているのかわからない。


学校内で見ている顔は、きっとほんの一部だ。


裏の顔をあたしは知らない。


そう考えて心臓がドクドクとうるさくなり始めた時、スマホが震えてあたしはビクッと身をすくめた。
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