浮気の定理
いつの間にか唇は離れていて、彼は私を見つめていた。



いつ、離れたのかもわからないほど、私は彼のキスに陶酔していたらしい。



見つめられていることに気づいて、急に恥ずかしくなる。



きっと今、自分は女の顔をしているに違いないと思ったから……



「すみません……我慢出来ませんでした」



そんな彼の言葉さえ、どこか遠くの方で聞こえる気がした。



私は黙って首を横にふる。



それが今出来る精一杯の彼への答え。



謝らないで欲しいと思う精一杯の……
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