浮気の定理
上司も私のただならぬ雰囲気に、そう言ってくれた。



小さくすみませんと呟きながら席を立つ。



泣きそうになるのを堪えながら、足早にオフィスを出た。



エレベーターのボタンを押して、到着を待つ。



そんなときに限って、なかなかエレベーターは来てくれない。



ようやくポーンと音がしてエレベーターの扉が開く。



幸い誰も乗ってはいなかった。



こんな顔誰にも見せたくない。



そう思っていたからホッとする。



エレベーターに乗り一階のボタンを押して扉が閉まりかけた時、ダンッと扉を押さえる音がして誰かが乗ってきた。
< 47 / 730 >

この作品をシェア

pagetop