浮気の定理
「ほんとうなのか?」



「ほんとうよ、嘘はついてない」



しばらく睨み合うようにお互いがお互いを見つめていたけれど、父の方が先にふぅ……と息を吐きながら、ソファーの背もたれに体を預けた。



それから私の顔を見ないまま、悲しそうな声で呟く。



「なんでなんだ?真由……よりによって不倫なんか……そんな風に育てたつもり……なかったのに」



独り言にも聞こえるような父の言葉が信じられなかった。



よりによって不倫なんか?それはこっちのセリフだ。



「そうかな?

自分がやってきたこと考えたら、あたしがこうなってもおかしくないと思わない?

北川さんのことなんか、ほんとは好きでもなんでもない

結婚してても、誘えば男の人は浮気するのか知りたかっただけ

結果はこの通り、浮気するのはお父さんだけじゃなかったって、証明されたわ」
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