浮気の定理
「涼子、当たり前でしょ?こんな状況だったんだもん……人のこと考える余裕なんてあるわけないよ

私の方こそ、知らなかったから……涼子に迷惑かけちゃったよね?ごめん」



桃子の言葉は、私を後悔から解き放してくれる。



いいんだよ?って……優しく言ってくれる人なんか、親以外いなかったから……



「桃子……ありがとう」



せっかく止まった涙が、また溢れだす。



桃子はそっと背中を擦ってくれながら、私にだけしか聞こえないように、小さな声で囁いた。
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