3年後、あの約束の続き
そして目線をゆっくり私に戻して、また話しかける。

「そろそろ企画部に話が来ると思うけど、日本で直営店の話があるんだ。今、営業部が必死に交渉してる。
だから早急にカタログの翻訳が欲しかったわけ」

なるほど、と思う。
うちは大型家具店や雑貨屋などに卸している。
橋本が管理するアウトレットショップは、返品になったものなどを販売する場所で、プロパー(新品)の商品の直営店は日本に無いのだ。

「だから、ありがとう。非常に今日は助かったよ。明日から俺も営業部と一緒に交渉に入るから、交渉材料が増えた」
章の言葉に、少し泣きそうになる。

努力を認められるのは、やっぱり嬉しい。


「でも無茶はしないでね。君のペースでやってくれたらいいから。
capacity overになる前に、俺を頼ってよ」
そう言って笑う章の顔は、何一つあの頃と変わらない。
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