3年後、あの約束の続き
章は小さい時から、いつも私を助けてくれた。

小学生の頃は、女子から色んなものを押し付けられて居残りをする私を見つけては
「ほら貸せ!!何で嫌って言わない?」
そう言って物を取り上げる。

「だって・・・言えない・・・」
ボロボロ涙を流す私を、なにも言わず手伝ってくれた。

そして終わると「頑張ったな」と言って、いつもの笑顔を浮かべていたのだ。



‐変わったのはきっと、私だ。



章は再び、渋谷の街に目をやる。

「けと、オーロラを思い出すね。空にも光が浮かんでいる」
ふと渋谷の上空を見上げると、空が光を反射していてぼんやりと明るくなっている。

「オーロラ見たことあるんですか?」

「何回かはね。オスロでも数年に1回ぐらい見れるんだよ」

そう言って私を見つめる。
するといきなり手を引っ張って歩き出した。

「せっかくだし、そこで夕飯食べていこうか。オーロラの話とかノルウェーの話、聞いてよ」
章はそう言って振り返り微笑む。



‐ずるいなぁ。
これじゃ逆らえない。

私は完全に章のペースに巻き込まれている。
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