散る桜
13


***

「ここには、来たらだめだと言っただろう」


山桜に囲まれた空間に、その人はいた。いや、人だったのだろうか。

首の後ろで結ばれた髪は、日に当たると青く透けた。


「ここからは出られないんだ」と笑った彼は、人間の姿をしていても、人間ではないモノのようだった。


山奥に突然現れた空白地に一人きり、彼は、草すら生えていない剥き出しの地面に腰を下ろして、歌うように時を数えていた。
< 13 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop