散る桜
22
「もうここには来ない方がいい」と言った同じ口で、「しずかに逢えないと寂しい」と笑う。
わたしたちは互いに、迷っていたのかも知れない。
山の中にぽかりと空いた忌地の真ん中で、膝を抱えて座りながら彼は一人きり、歌うように時を数える。
本当は誰を待っているのか、その背中は寂しそうで、わたしはいつも、忌地の境界ぎりぎりから、彼に向かって呼びかけるのだ。
「もうここには来ない方がいい」と言った同じ口で、「しずかに逢えないと寂しい」と笑う。
わたしたちは互いに、迷っていたのかも知れない。
山の中にぽかりと空いた忌地の真ん中で、膝を抱えて座りながら彼は一人きり、歌うように時を数える。
本当は誰を待っているのか、その背中は寂しそうで、わたしはいつも、忌地の境界ぎりぎりから、彼に向かって呼びかけるのだ。