散る桜
29


「どこって決めてるわけでもないよ。ただ歩きながら、空を見たり、山を眺めたり」

「本当に?」


その頃のわたしは、そんな祖母の不安に気付く余裕もなく、次々と飛んでくる質問に、面倒くさいことになったなと、内心ため息をついた。


「山には不思議なことがたくさんあるから、おばあちゃん、しいちゃんがいつか戻ってこなくなるんじゃないかって、心配なのよ」

「そんなこと……」
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