散る桜
40


***

夜風に吹かれて見上げた月は青白く、彼の冷たい髪の色を思い出す。


「しいちゃん。あなた、忌地に行っているのね」


祖母がわたしに尋ねたのは、片手の指先全てに草が巻かれた頃だった。

「忌地で何を見たの?」


「……」

「しいちゃん」


「何も……」

ごまかそうと言い淀んだわたしの手首を、祖母が掴んだ。心の奥まで見透かそうとする祖母に、わたしは下を向いた。
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