姉貴は俺のもの
カチャ


目を伏せながらドアを開けると、人影らしきものが視界に入った。


まさかっ!



海辺での男の人かと思い、顔を上げたが
そこには例の陸くんに会いに来ていた女の子が立っていた。



「 初めまして。 」


私を真っ直ぐと見ながら、目尻を下げて頬を緩ませる



いかにも偽物の笑顔だ。




「 初めまして 」


警戒しながらも、後ろ手で扉を閉めて中に入った。



「 陸のお姉さん……ですよね?

なんか聞いてた人と違ってびっくり 」



はッ?


姉???




女の子は口元に当てていた手を下げ、また臭い笑顔を浮かべてみせた。



「 あいさつが遅れました。


わたしは陸の恋人の______ 」



驚きで口を開けっぱなしになってる私が不機嫌なように見えたのか、

目の前の女は自己紹介をし始めました。




……内容は、一つも入ってこなかった。




陸くんが私の恋人でもなく、


ましてや他人でもなく、家族だったってこと?



どれだけ………私のことをからかえば気がすむのッ。




ガシャッン

棚の上にあった置物を手にとって、床に叩きつける


「 なッ、どうしたんですか?! 」



女の子をその場に残し、部屋を後にした。



もういい


こんな家、一人で出てってやる



物音を立たないようにそろそろと静かに降りた。



「 あっ。 」


声を出そうとした見張りの人の唇に人差し指を当てて、

黙らせた。



コソッ

「 桜木さんっ、部屋に行ってたんじゃないんですか? 」



困惑した表情を向けられ、首を縦に動かす



「 じゃあどこに行こうと、」


「 お願いだから誰にも言わず、私をここから逃がしてくれませんか 」




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