姉貴は俺のもの
道中、カーブがいくつもあり
陸くんは背後の私が振り落とされないよう
わざとスピードを落として走ってくれた。
もしかしたら_____
もしかしたら、あの人が言った事の方が嘘だってこともあるのかもしれない。
陸くんの一つ一つの仕草に、冷めて行ってた心も動かされた。
………けど、
「 悪い、呼び出された。
帰ってきたらちゃんと話すから 」
「 ________あっ。 」
この状態で??
私を家の前におろして、またすぐ去って行ってしまった陸くんの後ろ姿を空虚な思いで見つめた。
カチャ
家の中には家族じゃない、陸くんのお仲間さんたちがそんな私を待ち構えている。
目を伏せながら冷たい息を吐く
弁解の余地を一瞬でも与えようかと思った、私が馬鹿だったか
今はこの人たちには、そっとしておいてもらいたい
わざと肩を落とし、お仲間さんたちの前を素通りする
簡単なんだ….
あの人の話に心を委ねれば、陸くんが悪者だと決めつけることなんて。
_____それでも、私なりにあの人の話をもう一度
誰にも干渉されず一人で考え直したいのだ。
「 すみません、美奈帆さん。
お疲れのようですが、これだけは聞いてもらってもいいですか? 」
階段を一段上がったところで止められた。
無言で階段から数歩離れ、
また渡り廊下の方へと戻った。