秘密の会議は土曜日に
週の後半は鴻上くんの仕事を手伝って、帰るのは終電になった。


「理緒ホント毎日ごめんーー!この礼は必ずする!!

こんなに俺の補佐して貰ったら、うちの会社がメルトン情報さんに依頼してる範囲を大幅に越えてるよな。」


「そんなの気にしなくていいよ。高柳さんだって前に会社の垣根なく一つのチームって言ってたよ?

それに、鴻上くんの役に立てるなら私も嬉しいから。」


「ここでまさかの可愛い発言かよー……。涙出そう」


「大袈裟すぎだよ」


仕事で誰かの支えになれると、何も取り柄のない私ですら少しは価値があるような気がして安心する。

この考えは高柳さんに愚かだと言われたけど……。でもやっぱり変えられない。

まして、いつもお世話になってる鴻上くんのピンチだ。少しでも力になりたいと思うのは当然のこと。




でも、高柳さんに終電で帰ってることが知られると、すごく心配されてしまった。せめて土曜日は休んでと言われて、私の引っ越しは日曜になった。


「……これで完了だな。サーバと猫関連以外は荷物が少ないから、あっという間だったね」


「たくさん運んで頂いてありがとうございます。それに私のサーバまで書斎に置かせて貰ってすみません。

……りっくんは来たばかりなのに寛ぎ過ぎだよ!」


高柳さんの家の広いリビングにキャットタワーを設置すると、りっくんはご機嫌に動き回ってる。


「理緒は本当に大丈夫?働き過ぎて疲れてない?」


「このくらいなら全然平気ですよ。うちの会社では独りぼっちで仕事してたから辛かったけど、今は苦になりません。

どっちかっていうと、鴻上くんが心配です。最近かなり神経をすり減らしてるみたいで。」


「……。

あいつはもう少しで一皮剥けそうな気がするけど。

ここで折れるならその程度の奴だから、その時はもう少し優しくしてやってもいい。」


「ということは、厳しいのは期待してるからですか?

それならそう言ってあげれば、きっと鴻上くんは喜ぶと思いますよ……」


「何で俺があいつにそこまでしてやらなきゃならないんだ?

仕事はともかく、個人的には腹立たしくてしょうがないんだから」


高柳さんはぶっきらぼうに言った。


「理緒の番犬として少しは役立ってるようだけど、もうそれも終わりでいいだろ?俺との関係をオープンにすれば」
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