クリスタルガラスは壊れない
原田翔子といえば、地味、物静か、オタクっぽい、スカート丈長め、だとかなんとか言われている。
事実、それらは全て合っている。自分で言うのも悔しいけれど、地味に静かにコトを荒らげることなく生きる、というのが私でありポリシーだ。
オタクっぽい、のも、当たっている。オタクというよりは腐女子と呼ばれたいのだけど。おそらく一般的な人達から見たら、オタクも腐女子も全て一緒なのだろうから。
…故に、
「原田さん、意外と運動神経良いんだね」
何度この言葉を言われてきたかわからない。
体育会系な両親の元育った私は、陸上、バレー、新体操、バレエ、水泳…と様々なスポーツをやらされてきた。
それは運動会や体育祭といった学校行事に効果テキメンで、人数合わせに突っ込まれること数回。
「しょーこ」
一度、ほぼ全種目に駆り出されてへばった私を、心配したらしい春樹が救護テントまで来たことがある。
「大丈夫?」
「うん大丈夫だよー。ここからの眺めは絶景だから」
「絶景? ただの騎馬戦だけど…」
「あれはハチマキという名の愛を取り合ってるんだよ春樹」
「…あい!?」
「本当は今すぐにでも抱きつきたいのに敵同士だからそんなことできなくて苦肉の策としてお互いの鉢巻を奪い合ったるんだよ。そうしたら体に触れても無問題。ノープロブレム!」
「……」
その後クラスに戻ったら熱中症を疑われて、保険室のベッドに担ぎこまれたのもいい思い出です。
でも、次の年から全種目出場といういじめまがいな事は起こらなくなったので、良しとしよう。
「ねぇ、春樹」
「なんですかい、翔子」
「今度走ろうよ。気分転換に」
「どうせランニング中の野球部見たいとかじゃないの」
「……」
「無言は肯定とみなしまーす」
「今度お前でBL考えてやるからな!」
「それは勘弁」