なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー




翼くんはお姉ちゃんの職場の同僚だった人。
お姉ちゃんがいた頃はよく家に遊びに来ていた。




そのせいか仲良くなって"翼くん"と呼ぶようになっていた。




お姉ちゃんが亡くなってからは前みたいによく来ることはなくなったけど、たまにこうして顔を出してくれる。




「今日はどうしたの?」


「ん?もうすぐでしょ?だから」


「そっか。ありがと。上がって?」




翼くんは持っていたビニール袋を持ち上げて私に見せてくれた。
そこには綺麗な菊の花が入っていた。




それを見てお姉ちゃんのお参りに来てくれたのだと分かった。




私と翼くんはお姉ちゃんがいる和室へ入った。




翼くんは仏壇の正面に座り、持ってきてくれた花を供える。




「…肉じゃが?」


「あ、今日作ったからお姉ちゃんにもと思って…」


「茜好きだったもんね。夏生ちゃんの肉じゃが」




仏壇に供えてある肉じゃがを見つけた翼くんは懐かしそうに笑った。




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