なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー
しばらくの沈黙を破ったのは翼くんだった。
「…もう3年経つんだね。茜がいなくなって」
「うん。あっという間の3年だったよ」
翼くんと二人、お姉ちゃんの写真を見つめる。
お姉ちゃんと翼くんと言えば、3人でいろんな所に行ったな。
ほとんどがお姉ちゃんのわがままに付き合わされたんだけど。
それでも翼くんは文句言わずに私も誘って連れて行ってくれたな。
こうやって翼くんとここにいるとその思い出がよみがえる。
懐かしいな、なんて思うとつい一人笑ってしまう。
「…夏生ちゃんは、大丈夫なの?」
「……え?なに、が…っ」
隣に座る翼くんに言われて隣を見ると、いつにもなく悲しそうな表情をしている翼くんの瞳とかち合う。
やめて。そんな顔しないでよ。