なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー
「深侑くんはこの時期になるといつもより物静かになるから、悲しいのが分かる。
でも夏生ちゃんはずっと何ともない顔してるよね?
…茜が亡くなった時からずっと」
「……っ」
"あたしはいつでも夏生のこと見てるからね?"
私のことをちゃんと見て支えてくれているのは、お姉ちゃんだけだと思ってた。
その支え(お姉ちゃん)がいなくなったから、私一人で頑張らないとと思って今までやってきた。
深侑のことだって、お姉ちゃんの代わりに支えていこうって頑張ってた。
でもここにも私のことをずっと見ていてくれている人がいた。
「…っ翼、くん…?」
優しくて大きな翼くんの手が私の頭に触れたかと思えば、そのまま翼くんの胸元に倒れるように引き寄せられた。