なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー




"翼よりも応援してやりたい奴がいるからさ!"




「……最初から勝てるわけなかったよな」




夏生ちゃんが何度も涙を流すところは見てきた。




その度に大丈夫だよって支えた。




でも夏生ちゃんが心から笑える場所を作ることができなかった。




彼女が心から笑える場所は僕の隣じゃなかった。




思い返せばいつだって彼女が笑っていたのはあいつの隣だった。




「あーほんと何やってんだろ。もう少しだったのにさ」





あのまま何も知らないフリをして連れてくることだってできたはずなのに。




夏生ちゃんのあんな悲しい顔を見て、知らないフリなんてできるわけなかった。




深侑くん。
もし戻ってきて夏生ちゃんが悲しんでいたなら、今度こそ奪うからな。




だから彼女を心から笑わせてやれ。



【side end】



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