なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー




深侑は私の額に自分のをくっつけては微笑み、私の目に残った涙を優しい手つきで拭う。




「…好き。夏生が出会った時からずっと好き」




嘘だ。信じられない。




だって……




「だってお姉ちゃんと付き合うって……」




お姉ちゃんに言われた。
深侑と付き合うことになったって。




だから私のせいで深侑の好きな人を失ってしまったと思って……




「……あれは茜に夏生のこと相談したら『あたしが夏生の気持ちを試す』って言ってやったんだ」




試されたの?お姉ちゃんに。
でもあの時は確か……




「普通におめでとうって言われたから分からなかったって言ってたけど」




あの時は私の気持ちに気付かれたくなくて平然を装ってお姉ちゃんにおめでとうって言ったんだ。




だから試したとはいえ、あれじゃ私の気持ちは分からなかったはず。




やり方がお姉ちゃんらしいというかなんというか。




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