なれたなら。ーさよなら、私の大好きな人ー
やっと起きた深侑の頭は寝ぐせだらけで、呆れたを通り越して笑ってしまう。
「…んー…」
「…もう。はいはい」
いつものように私の腰に両腕を回して頭を突き出す。
私は深侑に引き寄せられたまま寝ぐせを手櫛で直してやる。
その間、深侑は私の胸元に顔を埋めておとなしくしている。
「…ほら。できたよ。
朝ごはん食べよっか。夕菜が待ってる」
「…ん。おはよ、夏生」
「おはよ、深侑」
深侑が顔を上げて目を閉じる。
私はそれに吸い込まれるようにして深侑の両頬に手を添えて唇を重ねた。
短いキスをして、互いの額をくっつけて笑い合う。
こんな穏やかな朝がすごく幸せだ。
「…やっぱりもう少し寝よ?」
「ちょ、ちょっと深侑…!?だめだってば…んっ……」
深侑からの短いキスを受け止めることに必死になっていて、体がどんどん倒れていくのが阻止できない。