キライ、じゃないよ。
友達、だから。

そう。ずっと前から分かってた。

樫も、山近くんも、香も、私の大事な友達だ。

樫のことを好きだと自覚して、その友達という括りが寂しいと感じても、結局は樫とは友達というラインから進むことはなかった。

あのバレンタインの日からは、逆に遠ざかってしまった私達の距離は、7年経って再会した今、少しは短くなっているのだろうか?

友達だとは言い難い、樫からの言葉と行動に、自惚れては落胆し……結局こうしてまた樫の隣に戻ってきた。

さっきの不意打ちのキスを私はどう考えればいい?

そう思って車を運転する樫を見上げると、私の視線に気付いた様子でチラリと視線をくれる。


「この前の話の続きがしたいんだ。この車、俺のアパートに向かってるけどいいよな?」


強引に乗せておいて、今更「いいよな?」はないよね。


「私も話さなきゃいけないこと、あるから」


話したくない、でも話さなきゃいけないこと。

八田くんから聞かされて、誤解だと分かった今でも、樫が信じてくれるのか不安で仕方ない。

田淵さんとのあの場面を見せられて、多分田淵さんから話は聞いてるかも知れなくて……それでも、樫は私と話をしたいと言ってくれる。



私は逃げちゃダメだ。

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