キライ、じゃないよ。



「再会してからこっち、俺は結構護に対して態度や言葉で伝えてきたつもりだったけど、全然伝わってなかったんだろ?それって鈍いって言葉以外でどう表すの」


「そ、そんなこと言われても。はっきりと言葉で言われてないよ。一度撤回されたし」

「ちゃんと言い直すからって言っただけだろ?流れ的に分かるじゃん、ふつ……」


普通、と言いかけて慌てて樫は口を噤んだみたいだった。

そこまで言ったらわかるし。

不穏な空気が漂うかと思われた直後、樫がソファから床に降りて正座をした。

ビシッと背筋を伸ばして真剣な表情でこちらを見つめてくる。

私も慌てて樫に倣った。


「皐月 護さん!」

「えっ、あ、はい!」


まさか、フルネームで呼ばれると思わなくて驚いてしまった。

目の前の樫はかしこまった姿勢のまま、一度大きく息を吸って私を真っ直ぐに見つめてくる。

緊張してるのに、さらにこういうの緊張が増すんですけど?

だけど目は逸らせなかった。

そんな勿体無いことできなかった。

このドキドキも、息が詰まるような緊張も、樫が私に対して真剣に思いを伝えてくれているからだ。

私だって、真剣に向き合いたい。


「あなたのことが好きです!俺と付き合ってください!」

「……はい。よ、よろしくお願いします」


まるで告白タイムみたいなやりとりの直後、どちらからともなく噴き出してしまった。



< 180 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop