キライ、じゃないよ。
幾度となくそれを繰り返されていくうちに、焦れったくて、もっと……そう思ってしまって樫の首に手を回して自分から樫に近付いた。
まるでそれを待っていたかのように、樫の唇が深く重なる。
離れがたいと思っていたのは私だけじゃなかったみたいだ。
どこか躊躇いを含んでいたそれまでのキスとは違う。
樫の熱い想いが流れ込んでくるような、そんな風に感じるキスだった。
まるで、舌で口の中を撫でられてるみたいに、優しくて深くて……甘い。
頭がボーッとして、熱くて、ただただ気持ちが良くて。
樫から与えられる愛撫に、私も同じように返した。
どうすればいいかなんて、考えなくたって良かったんだ。
大切なのは、ひとつだけ。
触れ合う相手が、自分が愛おしいと、大事だと思う相手であること。
……ただそれだけ。
それだけで、自然と心が、身体が動く。
「……樫、好き。ずっと、ずっと好きだった。これからもずっと、そばにいたい」
樫の胸を抱きしめて初めて素直に言葉にできた自分の想い。
樫は嬉しそうに笑って、私を横抱きにして抱き上げた。
次に降ろされたのは、ベッドの上。
樫と私の体重を受けて、ベッドが小さく軋む。
「護、俺も。ずっと護と一緒にいたい。もう離す気はねーから……」
樫の言葉が嬉しかった。
求められて、樫の熱を受け入れて……。
嬉しくて、幸せで。
涙が溢れて止まらなかった。