キライ、じゃないよ。


「もしかして、後悔……」

「違う!……それは違う」

「じゃあ、なに?」


答えを急かされて、息をのむ。

察して欲しいと思うのは、きっと私の我儘なんだろう。

体を起こすと、下腹から腰の辺りがズンと重かった。

毛布に包まりながら樫を見上げる。

目の前の樫の逞しい胸が直視できなくて、視線が泳ぐ。


「ごめん、ただ恥ずかしい……だけ」


「恥ず……?あ、そか。ごめん。俺デリカシーないな。えっと、服着る?」


言いながら全裸のままベッドから出て、足元に散らばる服を拾い始めた樫を慌てて止めた。


「ま、待って!私が拾う。自分で。……だから樫も、そっちで……」


顔も見れずにただキッチンを指差した。

樫が自分の服を持って移動するのを確認してから、自分も慌てて服を拾って身につけた。

は、恥ずかしかった!

樫とこういう関係になった事には後悔なんてしてないけど、好きな人に裸を見られる行為っていつか慣れるんだろうか?

仕事でなら人の裸も平気なのに、自分や樫のことだとどうしようもなく恥ずかしい。

かといって、慣れるほどこの行為自体を何度もできるかというと自信はない。

だって、噂で聞く通り痛かったし。

あんまりにも痛かったから、樫の肩……そこまで考えて、ハッと思い出した。

私、樫の肩とか背中に爪たてちゃったかも……。

でも大丈夫かなんて聞けない。そんなの恥ずかしすぎる……。






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