彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)



周りは花火で盛り上がり、私はラブイベントで盛り上がる。



(私だけ『特別扱い』されると、誤解しちゃうじゃないですかぁ~♪)



しかも、みんなに判らないように手をつないくるところが、乙女心をくすぐりまくります!!



(どうしよう、ますます好きになっちゃう~!!?)




「うははははは!りーんっ!」

「あう!?」



心の中ではしゃいでいたら、ポン!と肩を叩かれる。

心臓が口から出るぐらいびっくりした。

私のトキメキタイムを邪魔したのは、花火に向かって叫んでいたはずの男。



「・・・なんですか、ヤマト?」



ムードもへったくれもない友達だった。

救いがあったとすれば、瑞希お兄ちゃんが私の手を離さなかったことぐらい。



「うはははは!なにやら、ご機嫌斜めやなぁー!?頼みがあるんやけど!」

「え?今言うこと?」



良い気分を邪魔されイラッとする。



「うはははは!今思い出したからのぉ~あかんか?」



(ダメって言いたいけど・・・・)



「いえ、いいですけど・・・・」



長引くとろくなことがないとわかっていたの聞くことにした。



「なんですか?」

「うはははは!実はなぁー!」



花火がはじける音の合間で、関西男子は言った。




「わし、夏休みの宿題してなかったわ。」

「は?」

「うはははははは!雑賀先生が言うまで、きれいさっぱり忘れて、やっとらんかった!せやから、手伝ってくれへんか!?」

「・・・・・・・・・・はい?」



やってない?

え?この子今、夏休みの宿題、やってないって言った?

忘れててやってないとか、言った?



(夏休み終盤のこの時期に、出来てないって言いやがったの・・・?)



「宿題出来てないのに・・・・・花火大会に、遊び歩いてるってこと・・・?」

「うははは!正解♪」

「やってることは、不正解ですよ!?」



私のツッコミは、パーンとはじける花火の音でかき消される。

その瞬間、ロマンチックな世界から現実へと引き戻されたのだった。



〔★嫌な戻り方だった★〕



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