彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)



冷房の効いた部屋で、ヤマトが口をとがらせる。



「宿題見せてくれへんのかいなー!?」

「僕が丸写しさせるとでも、思ってたんですか?」

「うはは!凛ちゃんなら、させてくれそうやん?」

「そういうことをしていたせいで、菅原凛はいじめにあっちゃってるんだよ!」



苦々しい失敗を思い出しながら言うが、相手はどこ吹く風。



「うはは!こりゃあ、一本取られたのぉ~!」



シャーペンで手遊びをするばかりでページは進まない。

長い夏休みは楽しいことばかりじゃない。

出された宿題がたまりにたまって、後半戦で苦労するという話はよく聞く。

さいわい私は、宿題を出された日からやっていくようにしていたので、観察系以外は7月中にすべて終わらせていた。

先に苦労して、後で楽をした方が良い。

先延ばしにして、宿題をためる人の考えがわからなかったが・・・



「うははは!ながちゃんのインスタグラム、更新されとるわ~」

「スマホに触らないで、ちゃんと勉強しなさい!」



(わからないわ・・・)



実際に宿題をしていない人の相手をしているが・・・理解できそうにない。

もし、わかることがあるとすれば、楽をしようという根性が共通していることだ。



「うはははは!答え教えてや~!」

「ダメです。夏休み明けのテストは、夏休みの宿題から出されるんですよ?後で困るのは、ヤマトなんですから。」

「うははは!それもそうじゃなー!けど、ヒントぐらいくれてもええやんか~?」

「教えるぐらいならしますけど。」

「ほな凛!聞きたいんやけど~」

「なんです?」

「ここの答え、教えて!」

「だから自力で解けって!!」



〔★そういう質問ではない★〕



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