彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)



期末テストの勉強から見てきたけど・・・楽天的というか、本番に強いというか・・・

そんな思いでヤマトを見れば、彼も私を見ていた。

その姿にドキッとする。

サングラスを少しずらし、上目遣いでじっと見ていたから。

久々に見るイケメンの素顔。



「な、なんですか?」

「うん。」



私の問いに、いつもより小さい声でうなずいてから彼は言った。



「・・・えんなんとか君らは無理やろうけど・・・カンナはんかハゲ君なら教えてくれるんちゃうかな~九條アキナはんのこと。」

「え?」

「まあ、情報通なら長ちゃんか、つーちゃんもええかもな。」

「・・・ヤマトは、聞いた方が良いと思うんですか?」

「戦国時代でも、先に情報を手に入れたもんが勝ち残ってるやん?」

「聞いても良いものでしょうか・・・?」

「ええと思うで。むしろ、知らんと今後、困るんちゃうか?凛にも、立場っちゅーのがあるやん?」

「それならなぜ・・・・瑞希お兄ちゃん達は、僕に教えてくれないんでしょうか?」

「そらぁ、凛に言えるまで、心が回復しとらんとちゃうか?」

「え?」

「大事なもんを失うって、そういうことやろう?」



(回復・・・)



ヤマトの言葉がしっくりきた。



「そうですね・・・」



九條アキナと、もともとどんな付き合いをしていたか知らない。

でも、2代目総長が死んでから関係が悪化したなら・・・

それ以前が良い関係だったのなら・・・



「凛、凛!」

「なんです?」

「ながちゃんが来るけどええか?」

「は?」

「インスタグラムにコメントしたら、自分も凛と勉強したいってきたねん!」

「いや、勉強してるのはヤマトだけでしょう!?」

「アホやな~ながちゃんは、リンリンが大好きなんやで!うははははは!」

「そりゃあ、僕もちーちゃんは好きですが・・・」

「うははははは!楽しみやな~!凛以外で、友達が家に来るのは初めてや!」



嬉しそうにするヤマトを見ていたら、どうでもよくなった。



(今日のところは、これ以上、九條アキナの話はしないでおこう・・・)



なによりも、話す気分じゃなかったので終わりにした。




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