彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
「『時間だから帰るよ』って、言ってくれる第三者がいた方が良いです・・・」
「わし、時間をお知らせする目覚ましかいな?」
「ご、ごめん!」
「ぷっ!!うはっはっはっはっ!!ホンマ自分、おもろいわ!ええ子やわ!・・・ありがとな。」
大爆笑した後で、ヤマトにしては小さい声でささやく。
「良い親友持ったわ!」
「い、いえ、こちらこそ・・・」
バシバシと背中を叩かれたけど、あまり痛くなかった。
ヤマトと2人で、冷凍庫から今夜のご飯を出していたら、生乾きの髪の瑞希お兄ちゃんが速足でやってきた。
「凛、飯、できたか?」
「お兄ちゃん、髪の毛!ちゃんと乾いてないじゃないですか!?」
「自然に乾く。」
「だめです!乾かして!」
「夏だからいいだろう?」
「夏でも、ぬれたままだと風邪ひきます!」
「乾かすのがめんどい。」
「それなら、僕がしますから!」
「おう、任せるわ。」
「うははは!ほな、わしはチンしときますわ!」
「おう、任せたぞ。」
乾いたタオルとドライヤーを持ってきて、ソファーに座るお兄ちゃんの髪を乾かす。
目の前のキッチンでは、ヤマトが電子レンジを使って料理を作っていく。
私と同じ短い髪に触れれば、彼の香りが鼻をくすぐる。
乾いたタオルでしっかり水気を取ってからドライヤーをかけたので、ヤマトが料理を温めきる前に髪は乾いた。
「できましたよ。」
「もう乾いたのか?凛、乾かすのが上手いな?」
「先に、髪の水気を取っておけば早いんですよ。」
「ははは!モニカよりもうまいかもな。」
「それは褒めすぎですよ。」
モニカちゃんの名前が出てきたので聞いてみた。
「お兄ちゃん・・・みんなが返る前に、先にご飯食べていいんですか?」
「ああ、必ずそろってから食うってわけじゃない。つかれてたりしたら、先に食って寝て手いいってことにしてる。もちろん、その日の食事当番に連絡はするけどな。」
「今日は誰でしたっけ?」
「伊織。」
「・・・怒られませんか?」
「怒らねぇよ。凛の中の伊織は、怒りっぽいのか?」
「いえ、怖いという印象が強いので・・・」
「あいつは誤解されやすいだけだ。白雪姫に出てくる7人の小人の怒りんぼだと思ってくれ。」
「お兄ちゃんの中の獅子島さんは、グランピーですか!?」
〔★例えがメルヘンだ★〕