彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)




「心配すんな。好き嫌いの激しい伊織が、凛に対しては優しいんだ。普通に甘えてれば大丈夫だ。」

「そ、そうですか・・・」

(あれで優しいって・・・)



慣れてはきたけど、瑞希お兄ちゃんのフォローはわかったけど、その提案を受け入れるのは無理だ。

ハードカバーで殴られそうだから。



〔★第一印象が強すぎた★〕



「それに・・・マジでなんかあったら俺に言え。お兄ちゃんが怒ってやる。」

「あ・・・」



そう言うと、私の頬に手を添そえる好きな人。

触れているのと反対の彼の手がシルキロールをずらす。



「な!?」

「唇、むれてねぇか?モニカが心配してたぞ?」



そんな言葉と共に、指で唇をなぞられる。



(きゃあああああああああああああああああ!!!)



顔が熱くなるのがわかる。

無垢な顔で私の唇に触れながら、「うるおってるじゃん。」と言うお方から目が離せない。



「烈司は烈司で、マスクしてるから変な日焼けしてないか気にしてたけど・・・色同じだな?」



ニコニコしながら言うと、両手で私の両頬をプ二プにする。

おかげ様で、追加で耳まで熱くなってくる。



「お、お兄ちゃ・・・!?」

「飯食ったら、片づけはいいから帰れよ?早く帰らせるのは俺も寂しいけど、お互い我慢しような?」



お互い我慢しような?我慢しような?お互い!?



(わ、私と同じ気持ちだとおっしゃるの!?)



そう思った瞬間、ちょっといろいろ飛んだ。



「瑞希お兄ちゃん!!」

「お?」



ガバッと彼の首に、体に、抱き付く。



「怪我しないようにします!寂しいけど、言うこと聞いて帰ります!お兄ちゃんが大好きです!」

「・・・うん。俺も凛が好きだ。」



ほっぺから彼の両手が離れ、私の体にまわされる。




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