彼は高嶺のヤンキー様5(元ヤン)
「あ、あの、坂口さん・・・話って、なに?猪口さん達はいいの?」
「あんなおバカ達と必要以上に話すことないから。」
「私もバカな方だけど・・・?」
「違うわ。菅原さんは伸びる可能性がある。口も堅そうだしね?」
「は?」
(口が堅い?)
「菅原さんさ、今よりも学力を上げたいでしょ?」
「それは・・・そうだけど・・・?」
「実はね、いいものがあるの。」
そう言って笑うと、ポケットから何か出す坂口さん。
「あなたにあげるわ。」
「え?サプリメント??」
差し出されたのはフィルムに入っている錠剤。
「製薬会社の試供品なの。」
「え?」
「私、これを飲み始めてから、成績が上がって・・・塾でも1位をキープできてるのよ。」
「え?そうなの・・・?」
「そうよ!集中力も上がるし、体の疲れが取れるし、疲労を感じなくなるの!」
「そんなにすごいんですか?」
「試しに飲んでみて。吐いたりしなかったら、体にあってると思うから。」
「どうしてこれを私に?」
「口が堅くて真面目だからよ。真面目な人間こそ、報われなければいけない社会だから・・・ああ、これは試供品だから、お金はいらないから心配しないでね。」
「え!?いや、私、いらないよ!」
「いいから、いいから!まずは飲んでみて!ね?」
「坂口さん!?」
「明日、飲んでみた結果を教えてね。みんなには内緒よ!絶対内緒だからね!?」
そう念を押すと、私の手に無理やり薬をにぎらせる。
「ナイショだからね!絶対飲んでね!?」
「坂口さん!」
抗議したが、相手はまるで聞こうとしない。
強制的にサプリメントを押し付けると、私を残して教室から出て行った。